「長唄ではその旋律もさることながら、歌詞ひとつとっても文学的な要素があり、非常に芸術的に出来ています。」(穂積さん)
長唄の歌詞には、掛詞や縁語、古典からの引用が豊富で、解釈を紐解けばそこには日本語や日本で育まれてきた文化の奥深さが詰まっています。また、歌詞の意味だけでなく、その響きやリズムも注目すべきところ。穂積さん曰く、
「古文的な解釈をすると、文法的におかしな部分があって枕草子や源氏物語のように綺麗には訳せず、そもそも何を言わんとしているのか分からないものもあるのですが(笑)、歌詞としては整然と順序立てた物語になっていなくても構わないわけですし、話が突然飛んでしまってもいい。さらに言えば、語呂やリズムが良いだけだっていいんです。」
とのこと。歌詞の意味だけでなく、その言葉の響きにも耳を傾けて、長唄が創るその世界を感じたいものです。