あ行
あ
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あたぼう
「そりゃあたよ、あたぼうと言ふだらうが」『洒』 京伝居士談
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あわびのかたおもい
【鮑の片思い】
「所が一向お芽出度く無い事サ、所謂鮑(アハビ)の片思ひでネ」『浮雲』二・七 二葉亭四迷
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あおにさい
【青二才】
「この青二才が何を言うか」「まだ青二才の私ですが」
い
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いっこくもの
【一刻者】
「うちの親父は昔気質の一刻者ですからね。恩を受けて恩を返さないやつがあるか、それじゃまるで人間も同様な狸じゃねえかッて...」『狸賽』
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いんごう
【因業】
「大家さん、それはいくらなんでも因業だ」「ああ、因業だよ、この界隈でも俺は因業大家で通ってるんだ」『大工調べ』
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いさみ
【勇み】
「ちょいと勇みな、銭遣(ぜにづかい)の奇麗な所に岡惚れして」『良人の自白』 木下尚江
う
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うきみをやつす
【憂き身を窶す】
「昔は世の中がまことに豊かで、何かおもしろいことをして遊ぼう、どんなことをしたら他人が驚くだろうなどと、そんなことに憂き身をやつした時代がありまして...」『三味線鳥』
え
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えどまえ
【江戸前】
「日本橋の魚河岸とちがって芝浜の方は小魚を俗に芝浜の魚という、本当に江戸前の味のするやつで...」『芝浜』
お
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おひねり
「鉢尼、〈略〉むかしむかし、いかなる人のはてやらんと思へば、おひねりをめかけ、又は友の道心者としくみ、鉢の子にいわし買てかへらるる」『浮世草子・好色通変歌占 上』
か行
か
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かわたれ
「かわたれの秋の光にちるぞえな」『片恋』 北原白秋
き
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きしょう
【起請】
「一日に十枚づつの起請を、昼はかき、夜は御坪の内にて読み上げ読み上げ」『平家物語』一二・判官都落
く
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くがい
【苦界】
「どうぞお客に来てもらおうと思って、方々へ一生懸命に出す。〈巻紙も痩せる苦界の紋日前〉、巻き髪だって痩せちゃいますよ」『品川心中』
け
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けんのん
【剣呑】
「金は欲しいだろうが、そんな剣呑な思い迄して借りる必要もあるまいからね」『道草』 夏目漱石
こ
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こうりょく・ごうりょく・ごうりき
【合力】
「殊(こと)に合力をいたして、当寺の破滅を助けられんと思ふ状」
訳:特別に力を合わせまして、この寺(=園城寺(オンジヨウジ))の破滅をお助け下さるようにと願う手紙。『平家物語』七・山門牒状
さ行
さ
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さいくん
【細君】
「旦那様にはお囲い者があるんですよ。あなたがだいいち、おとなしいからいけませんわ」などと、細君へ向かってむやみに石炭を焚くやつがいる。『一つ穴』
し
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しなん
【指南】
「町内に欠伸指南という看板が出たんだ。一つ習いに行こうじゃねえか」「よしなよ、欠伸の指南だなんて馬鹿々々しい」『欠伸指南』
-
しもたや
【仕舞屋】
「株を売って裏へ引っ込んで、しもたやで暮らすさ」『酩酊気質』
す
せ
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せった
【雪駄】
「待て待て待てッと二声三声かけておきながら、チャッチャッチャッと雪駄の後金を鳴らしてついてまいりましたが、腰をひねった居合抜き...」『首提灯』
-
せきのやま
【関の山】
「弥太五朗親分が行きゃァ向こうで手も足もでやしないよ。ただぺこぺこお辞儀をして、御銭をもらって、お嬢さまを返してよこすのが関の山だよ、ね?」「そりゃいいところに気がついた」『髪結新三』
そ
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そばづえ
【傍杖】
「ぬしの傍杖でわたしまで」『南江駅話』
た行
た
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たまごにめはな
【卵に目鼻】
「まだお嬢さんがちょうど七つのお祝いのときに、あっしがおぶって浅草の観音さまへ行きましたら、みんな〈こんな綺麗な子てェのはない、卵に目鼻だ〉なんていってまして」『穴釣三次』
ち
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ちゃうけ
【茶受け】
「何かお茶おけはありませんかね」「お茶の桶とはどんなものだ」「茶を飲みながら食うんですよ」「ほゥ、お前はお茶おけという桶を食うか。それをいうならお茶の受けに食べるからお茶受けだなァ」『やかん』
つ
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つきうま
【つき馬】
「〈ゆうべこのお客さまが自楼で遊んだが、勘定が足りないからお前ひとつつき馬になって取ってきておくれ〉〈へい、よろしうございます〉てんで大門際に持ってェる馬子さんに頼んで...」『つき馬』
-
つめいん
【爪印】
「受取を書け」「受取は要りません」「こっちでは要るのだ。うん、書いたら判を押せ」「判、ないんです」「爪印でもいい」
て
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てきやく
【敵薬】
「人間でも虫、獣、なんでも嫌い、敵薬というものが必ずあるもんだが、お前は何が嫌いかいってみねえ・うん?怖いものがあるだろう」
「鯉に胡椒は敵薬」(上)『田能久』 (下)『三国伝来無匂線香』
な行
な
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なさぬなか
【生さぬ仲】
「いくら生さねえ餓鬼だって飯ぐらい満足に食わせろ。餓鬼が腹減ったって飯も食わせやがらねえで、ひでえことをしやがる」『双蝶々』
-
なおす
【直す】
「お前さんが暗い所へ立ってて、〈お直しだよ〉って返事をすりゃまた追加が取れるんだから・・・〈お直し〉って声がかかんなきゃ駄目だよ」『お直し』
-
ながや
【長屋】
「おゥ、あそこに二軒半間口の長屋が空いているが、あれ借りてやろうと思うけどチンタナはいくらだ」「なんだいチンタナってのは?」「タナチンをひっくり返したんだ」「誰が貸すといった」「じゃあれ、貸さねえのかい」『小言幸兵衛』
に
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にがみばしる
【苦味走る】
「隅のところに、としのころは三十二、三でございましょうか、色の浅黒い、目のぎょろりとした鼻筋のつゥんととおった、苦味走ったまことにいい男で」『文違い』
- にくてい 【憎体】
ぬ
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ぬれえん
【濡れ縁】
「その濡れ縁へお掛けなさい」「縁側がきれいに拭きこんであるのに、半天が汚れてますんで」「そんなことは心配ない、汚れたのは拭けばいいんだから」『青菜』
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ぬかぶくろ
【糠袋】
「一風呂だけおつき合いよ。汗を流そうじゃないか。(番台へ)流しが二つ、手拭いが二本、シャボンはどうする?糠袋の方がいいね、それじゃ糠袋を二個と。きみ、ちょいと銭湯を立て替えといて・・・」『つき馬』
ね
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ねこばば
【猫糞】
「あれ、婆さん、お前は俺が小言をいうてえと猫を蹴飛ばすね、この猫糞ァめ」『小言幸兵衛』
の
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のさばる
「人間は万事出世だから、我慢をしろよ」「あの野郎、このところ役付きになったからって、やたらのさばりやがって」『三軒長屋』
は行
は
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はこいりむすめ
【箱入り娘】
「娘が連れて逃げてくれってますから、それから家ィ連れて来たところが、もとよりわがままな箱入り娘で、自分の家にゃ土蔵倉があるのにこんな汚ねえ家へ引っ張ってこられたんで・・・」『髪結新三』
ひ
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ひしゃく
【柄杓】
「はばかり(便所)から出てきた手を洗おうと思うと、後家がちゃんと柄杓に水を汲んで待っている。〈さァ、どうぞお手を〉、水をかけてもらって・・・」『後家殺し』
ふ
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ぶちころす
【打ち殺す】
「オイ、おっかァ、お前ェがきてる着物、ちょいと俺に貸してくれねえか」「あたしの着物を剥いでどうしようってんだい」「横丁の伊勢谷へ持ってって打ち殺すんだ」「で、いつ受けて返す?」『骨違い』
へ
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へこおび
【兵児帯】
「(子供の着物を脱がせながら)」ほらほら裸になるんだ。お湯ゥへ入るのになぜ泣くんだよ。もったいねえな、ふだんからこんな兵児帯なんか締めやがって」「おい、それは家の子だよ」『堀の内』
ま行
ま
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まぶ
【間夫】
「おやおや、そうがっかりしたもんじゃねえや。え、廊下をパタリパたリと来やがったねえ、間夫は引け過ぎ(午前零時すぎ)てェことがあるからなァ、おれんとこで落ち着こうてェやつかもしれないよ」『五人廻し』
み
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みふたつ
【身二つ】
「こちらは男でばかし、万が一のことがございますと取り返しのつきませんで、身二つンなりますまでお里かたでおかりを願いまして、ご安産ののちにまたこちらへお戻りを願う・・・」「えらいッ、さすがはしわいやの番頭」『味噌蔵』
む
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むかしとったきねづか
【昔操った杵柄】
「おばあさんだって昔操った杵柄で、若い者に負けちゃいられないてんで、綿の中に唐辛子も入ってるという手丈夫な腰巻の下から、ニスの剥げたテーブルの脚みたいなものを出して騒いでいる」『百年目』
- むねわりながや 【棟割長屋】
め
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めじろおし
【目白押し】
「おしかへす・けい馬の埒の目白おし」雑俳 雪の笠
も
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もんきりがた
【紋切り型】
「江戸狂言は昔から紋切り型というものがあって、同じ狂言、同じ仕打ちをいつも見せてそれが家の芸になる。」『客者評判記』
や行
や
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やきがまわる
【焼きが回る】
「あら、駕籠屋なら見世の前へ待たせておきゃァいいのに・・・あたしに無心をするんであれだけ気兼ねをしてるんだねェ、芳っさんも焼きが回ったよ・・・」『文違い』
ゆ
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ゆすり
「娘の腹に曰くができたとか何とかいうので、お袋が難しくいって揺するのだろう」『三日月阿専』
よ
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よんどころなく
「だんだん前へ行ってみたらお葬式のお焼香の列につながってたりしてェて、どうも知らない人によんどころなくお焼香をして帰ってきたという・・・」『酢豆腐』
ら行
ら
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らお
【羅宇】
「元はといえば狂歌の名人といわれた人。零落をなすって羅宇屋をしているという話は聞いていたが、まさか・・・お気の毒じゃないか、この寒いのに」『紫檀楼古木』
り
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りんき
【悋気】
「寝たなりで居るはきれいな悋気なり」『柳多留』
れ
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れんじゃく
【連尺】
棺桶に連尺をつけてこれを背負い、釜無村の木蓮時を出たときは、夜もだいぶ更けていた。「ああ暗くて薄気味悪いが、一度でも芝居というものを見てみたいし、ウナギも食ってみてェしなァ」『黄金餅』
ろ
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ろく
【陸】
「手前ェが陸なことをしてこの金をもうけたんじゃねェことは、おれァよくわかってる。こんな金は受け取れねえ」『双蝶々』
わ行
わ
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わるずいりょう
【悪推量】
「お前もあんまりといえば悪推量なことばかりいうのう」『春色籬の梅』